酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

うつわやさん

備前は日本酒で言うならいわばむろか生原酒。
釉薬も何もかかっていない、すっぴん。

岡野さんは一度東北の松割り木を使ったことがあるそうですが、やはり地元岡山の松割木がしっくりいくそうです。そんな松割り木を使って、自分のお家よりも大きいかとも思える大きな窯で年に一回窯焚きをしはります。

火入れ 火を脅かす 遊ばせ 走らせ 這わせ うねらせる・・・
そしてできる自然に寄り添うような素直な形。

そんな器は懐が深く、一見控えめで地味なのに酌み交わすうちにどんどん隠れた魅力があらわになっていくのです。

清明さんはいわはりました。器はもち手が育てるもの。毎日使いさすってやる・・それが使いさび。いいものを日々触っていると手が覚えてよいものがすぐわかるようになるそうです。

料理する気持ちが高まり 盛り付けの工夫が膨らみ 食べるときに豊かで食べ終わって尚味が残る・・そういう器はすでに楽しい・・・・

考えてみれば器を扱いだして10年以上になります。扱い始めたときは必死で本を読みあさり、美術館やギャラリーにも足を運びました。今はなんか静かです。でも器に対する情熱は衰えていないつもりです。

ものを見る眼もお酒を利くのと同様真剣勝負やな。
でもあまりにも奥が深くて・・いつになったらちょっとわかるようになれる事やら・・・

あんまり売れへんけど、心底好きな器・・これからもほんまもんを置く器やになりたいと、岡野さんの窯から出したての備前の器を見て改めて思いました。