酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

雁風呂

大好きな三原透先生に、大いなる渡 のお話をお伝えしたら、以下のようなお返事をもらいました。

雁は長くはとび続けることができないので長旅のときは木の枝をくわえて、疲れると枝を海面に浮かべて羽を休めます。そして青森の海岸にたどり着くと、岸辺に捨て日本中に散っていき、翌春また北に戻るとき、また同じ岸辺に来て自分の体重にあった枝を拾って北国に旅立ちます。すると、ひと冬の間に命を落とした雁の分だけ枝が海岸に残りますね。

雪国の人は心が温かですね。そこらの人は残った枝を集めてそれでお風呂を沸かせます。そして雁風呂(がんぶろ)とよんで、雁の霊を弔うそうです。ガス風呂が主流の今の時代も続いているかどうかは知りませんが、ずいぶん昔に聞いて胸が熱くなったのを覚えています。

先生の温かなお人柄を感じさせる手書きの文字で、こっちも胸が熱くなりました。毎日のように親が子を殺したり、またその逆・・・という信じられないニュースが流れますが、こんなええ話こそニュースで流してもらいたいものです。

弔いのお酒や雁風呂にまつわる死には、いつかは絶対訪れる・・・・死ではありますが、その死を慈しむ、暖かさがあります。今の時代にこそ、途絶えることなく根付いていってほしい大事な日本の習慣・文化やなあと思います。