酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

萩乃露 渡船

あちらこちらで渡船が搾られはじめてまいりました。

萩乃露さんでは昨年と同じく今年も、子渡船六号と父山田錦とを、まったく同じスペックで造られまして、親子肩を並べて発売。

案内文には専務さんのお人柄が感じられます。以下がその文です。

山田錦・・・さすがに安定感のある山田錦ですが、ほかのお酒同様米自体が少し硬い年であったように感じます。全体的な印象は上品で切れのよい印象に仕上がりました。上槽後一週間が過ぎてふくらみ、柔らかさが増してきたように感じていますし、開封後も丸さが増しバランスがあっていく印象です。搾りたての今時分であれば、少し時間をかけて楽しんでいただくか、飲食店さまでは少し空気に触れさせてから提供いただくなどすると、ぐっとポテンシャルを引き出していただけるのではと感じています。

試飲してみますと、ものすごようできたお酒です。私は開けたときから膨らみもあるように感じましたが、確かに時間を置くと、インパクトはおとなしくなり、落ち着いたまろやかなイメージに変わっていくように感じました。

渡船・・・初年度の仕込では好評でしたので、2年目の今年は非常にプレッシャーがありました。この米は非常に溶けやすく昨年以上にこのことを実感し苦しみましたので、槽口できき酒しほっとしました。渡船の味わいが引き出せた旨酒だと思います。渡船は生での変化は劇的で表情はどんどん豊かになり最終的には崩れないようです。昨年以上に搾りたての今から旨みと柔らかさがあるように感じておりますので今からたくさんの表情を見せてくれるものと思います。

まずびっくりしたのが、興味深い酸!面白いお酒や!昨年とはまた違います。サンプルをあけてからもさまざまに表情を変えていきました。そしてこれからの味の変化が、またどきどきわくわくです。

福井専務さんは手書きのお手紙に、「今年の課題は適切な火入れと思っています。」私も火入れに今ひそかな興味を抱いていたので、この言葉に反応してしまいました。

つい先ほどご来店のお客様も、「朝市の萩乃露、3種ともそれぞれにものすご旨かったわ。このごろの萩乃露めっちゃくちゃええ感じや。」嬉しいことや。

何年か前、萩乃露のお蔵を「湖西の獅子、目覚める」とあゆもどきさんが表現しはりまして、お見事と思いましたが、それから数年が立ち、ますますその本領を発揮してきてはるように感じています。