酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

完全発酵とは??

ある方から 完全発酵って何ですか?という質問を受けました。

自分でもいまいちわかってなかったので、ここぞといろいろ調べたり聞いたりしました。

そうしたらとても面白かったんです・・・ウィキペデイアも参考にさせていただきまして。

お酒ができる過程※で、 分解によってブドウ糖をはじめとする糖分が食い尽くされていくわけですが、もろ味の中には 非醗酵性糖分といいまして 醗酵に使われない糖分も含まれているそうです。なので それは残るので、たとえ完全醗酵させても、醪から糖分がまったくなくなるわけではないということです。なので完全発酵させた日本酒が糖分を食い尽くして辛口になるということにはならないし、そこには、アミノ酸その他の多くの要因が複雑にからみあって、単一的な薄っぺらな味わいでは決してない・・・ほんまもんの美味しいお酒が完全発酵のお酒といえるわけです。

また日本酒は 並行複醗酵という手法で醸される世界でもまれなお酒でして、米に含まれているたんぱく質や脂肪など、デンプン以外の成分も、麹菌や酵母の作用によって分解され、幾重にも入り組みながら微妙な香味わいをつくっていくので、不完全醗酵であるとこうしたプロセスもある意味切り捨ててしまうことになるため、醪としてはは未熟である、という意見もあるそうです。

これは 今泡なし酵母が増えている中で、不老泉があえて泡ありを使っているということも近いものがあるのかもしれません。

そんなつながりもあり不老泉の専務さんにも直にインタビューしましたんや。そうしたら データを取りながらそして官能も働かせながらお酒を一生懸命醸していく中で、佳境に入ったその時にもうひとふんばりしよる瞬間があるそうです。そのときに 績さんご自身が完全発酵しよったなあ~と思えるのやそうです。

ちなみに最近それを実感したのが山廃純米吟醸 中汲みやったそうです。

結局そういうお酒は お燗したときにようわかるようです。とくに不老泉の赤ラベルがお燗冷ましもおいしいのはまさに完全発酵やから・・・ではないやろうか?

この質問はとてもええ質問やったと思いますし、またおいおい根掘り葉掘り蔵元さんにお聞きして、お伝えしたいと思います。

※日本酒は、一つの醪の中で、デンプンが麹の酵素によって糖に変わる糖化と
糖が酛(もと)で培養された酵母によってアルコールと二酸化炭素に変わるという分解が、同時並行的に進むという並行複醗酵によって醸造されます。