酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

岡部嶺男展

篠山の旅の途中立ち寄った兵庫陶芸美術館にて、岡部嶺男の作品に出会いました。加藤唐九郎の息子さんやったんや・・。

クラシック音楽・・特にベートーヴェンをこよなく愛し、作陶中も常に音楽と一緒。第二次世界大戦中、激戦地であったフィリピンのジャングルで生死の淵をさまよったとき、頭の中に響き渡るこの曲の調べによって生きる力を与えられたそうで、音楽葬であった岡部の葬儀でも会場に流されたそうです。そして青瓷の会場にもこの音楽が流れていました。

山根のおやっさんやないですが、ものすごい勉強家。織部・志野・天目・灰釉・古瀬戸・粉青瓷・窯変米色青瓷・翠青瓷・・・・こんなに多彩やのに、そのどれもが中途半端ではなく、どの色もフォルムも生き生きとした生命力にあふれ、心を釘付けにしました。縄文の叩き模様などはどちらかというと苦手なはずやのに、この人の作品は全然受け入れることができました。きっと上辺だけの意匠ではなく、ほんまもんやったからこそ・・・なんやろうなあ。
見るものすべてが、もう完璧でした。一日じゅう見てたいくらい。

よほどこの仕事が好きで好きでたまらへんかったんやろうなあ・・・それと音楽も。書もすばらしく、すべてにおける美意識に秀でた人やったんや。

恥ずかしい話、名前も存じ上げてなかった岡部嶺男の作品を、思いがけず堪能させていただきました。これっきりではなく、是非とももう一度見たい・・・すばらしい作品でした。