酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

明利酵母について れくちゃ~

ものすごい 丁寧にお酒を利いてくれはるありがたいお客さんの一人
下田屋の綾さんから 六方夏の酒を飲んでいただいたところ、味わいはとてもよかったんですが 飲んだ後に渋み苦みが残りますとの事。

綾さんからのこないな質問にはちゃんとお答えせなと、早速喜多社長に電話。

まず喜多さん こういうお客さんうれしいねえ~それと しっかり利いてくれはる人なんですねえ~と電話の向こうに喜多さんの笑顔が見えます。

そしてれくちゃ~。

この六方というお酒は 明利酵母と金沢酵母ブレンドされていてしかも明利がほとんど。別名小川酵母ともいいまして( 小川 知可良さんが東北6県の数百という蔵のもろみから集めた内のひとつなので命名。東北生まれの茨城育ちの酵母なのです)

品評会用のお酒によく使われます。酸が少なく、低温でよく発酵しきめ細やかな香気を発するのが特徴。淡麗で芳香のある吟醸酒向き。また、低温性で アルコール耐性が弱く扱いが難しい酵母でもあるそうです。

知事賞をとらはった香の泉さんの唯醸や天醸のお酒がそうですし うちで人気の三連星もブレンドで半分明利酵母です。不老泉のそま天も北島さんも‥‥北島さんなんぞは肩に小川酵母とかかれていて 小川酒店としては よりひいきに売らせてもろてる どちらかというと万人にうける優しい香りが魅力の酵母です。

そして この酵母は純米やと渋み苦味がとても出やすい特徴があるそうです。で品評会のお酒はすべてがアルコール添加の大吟醸でして アル添をしますとこの渋み苦味が消えるそうなんですが この六方は純米吟醸。若さゆえの渋み苦味でもあるので また 温度がかなり冷えていると余計に感じやすいので 時間をおいて空気に触れさせてみたり 温度をすこーし上げてみると感じ方がまろやかになるそうです。

なるほどなるほど。わかりやすいれくちゃ~をありがとうございました。

酵母もほんまにいろいろありまして ひとつひとつ探ってみるとまたおもしろいかもです。

余談ですが‥‥この酵母を作った 小川知可良博士さんは

 河童の絵で知られる小川 芋銭氏の三男。
東京大学農学部を経て国税庁に入庁。退官後は明利酒類(株)に入社。小川さんの妻、敏さんは、西山酒造『小鼓』が実家なんやそう。母の旧姓が西山より一層なので御縁を感じます。また日本酒に関しては勿論のこと 趣味が広く新しいもの好きで、スポーツマンだった小川知可良博士は いまでも酒造りに携わる人々から慕われ続けています。…・そうなんや。より一層 楽しくこの酵母でできたお酒を売らせていただけそうですわ。