酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

30年もん 日本酒

上品な着物を召した女性が 30年前の日本酒がありますのやけど 大丈夫ですやろか?とご来店。

お酒が大好きやったご主人が1月に亡くなり このお酒がでてきたんやけどなんと30年も前のお酒なので、怖うてよう開けられへんかったとのこと。

いろいろな話をさせていただきますと ほな持ってきます~と。

持ってきてくれはったお酒は 味わいのある 古信楽の中に入っていました。灘の横に小さく多聞とありました。いまは大関の傘下になっている多聞

30年をへているので やっぱりコルクはぼろぼろ。

漉してグラスに開けてみますと 綺麗な琥珀色…たぶん 本醸造火入

老ねてもおらず こなれてええ味わい。

近いうちに お友達が集まらはるとのことで 大丈夫ですので皆で故人をしのびながら呑んでくださいといいますと えらい喜んでくれはりまして 私にもおすそ分け頂きましたんや。

その夜おっとと 今日の話をしながら 有難い30年もんのお酒を頂きました。お燗をつけたらよりおいしくなりました。

30年か・・・・30年後は80歳 私ら生きてんのやろか?

はたまた 30年前の20歳のころに思いも馳せながら・・・

信楽のボトルは、あと 花活けとしてつかわはるそうです。 

かかっていた札には縁と書かれていました。なんと私の大好きな中川一政の書でした。中川一政といいますと 懐かしいとぴこさんという友人が ものすご好きやったなあ。ととぴこさんのことも 思い出しました。美術館やら絵本原画展やらよう 見に行った友達。元気にしてるかな?

お名前も存じ上げない方のお陰で ええ時間を過ごすことが出来ました。

不思議なこんなご縁に感謝です。

お酒は ほんまに人と人との縁をこしらえてくれます。