酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

試験酵母秘話 後編

気い遣いの績さん ほんまに遠慮しいなんやな。山根のおやっさんの時にはとうとう言えへんだし。横坂さんのときにも ものすごく遠慮しつつ・・・・・・どう??と・・酸が高いね~と。確かに。

じつはこれが完璧によかったら 初しぼりになるところやったんやけど しぼった新酒、やはり酸がたつ。以前の不老泉の山廃は酸がかなり高かったので、懐かしい山廃の味やと。これ お蔵にいったとき あひるちゃんも同じことをいうてはった。あひるちゃんが 一番気にいってはったかも。これだったら使えるんじゃないかなと期待して、しばらく常温放置それから冷蔵庫へ。まずは初呑み切りあたりまで寝かせてみようと。

その後も 色々な場面で えらいさんやら普通のひとたちやらプロの人達やら・・・・いろいろ利き酒してもらいながら 期待に胸が膨らんだり へこんだり。呑みきりのときにも あえてこのお酒の評価を利いてはったのはおぼえているけど この秘話をきくと いかにこの酵母を気にかけてはったのか 今更ながらしみじみ。

績さんをはじめ気になったのは香りでした。漬物臭と。そう言われるとそんなにおいも感じられるかな?藤井君いわく 美味しい美味しい美味しいお母さんのお漬物を 毎日食べている不老泉の人々が作っているから、さらに 不老泉の蔵にはとりわけお漬物の 目に見えない菌が 自然に住み着いているので・・・・からか?そのにおいがするのかもとのことでした。

私ふくめ 吞みきりのときにも このにおいを指摘する声は全くなかったようなのですが 績さんにとっては これがネックとなり ブレンド用のお酒になったのです。ブレンドするとこの酸がお酒の全体をしまったものにしてくれるのやそうです。

そして 吞みきりからさらに時を経ての11月の終わりに 朝市会場で皆の意見を仰ぐことになります。

私も身が引き締まる想いです。そして 味や香り お燗の塩梅など 良い意見を聞くことができたらええな。

いつか績さんたちが 心底なっとくする お酒ができたら この酵母単独で 商品化されることになり、うちの速醸の酵母をこの酵母に変更して、不老泉は速醸も蔵付酵母を使うということになるのやけど それまでは 酵母をオフシーズンにTTC染色等検討して使えるか判断し、何度も挑戦し続けはります。話題性を求めて一気にこの酵母に変更することはしたくないのです。気の長い話やけど 慎重に慎重に・・・・・発酵の温度や麹のできによって酒質も左右されるし、もちろん酵母の働きも違ったものになるかもしれないと思うから。
 
実はなが~~~~~~~~~~~~いメッセージは績さんからのものでした。想いの深~~~~~~~~~~~~~~~~~い績さんの試験酵母秘話でした。これ(前編後編合わせて)の3倍くらいの長いメッセージをわからへんことは聞きながら 私の想いも含めて書きました。でも結局長くなりました。すみません。

最後にこんな言葉でしめくくってはります。

「これから不老泉の酒を速醸・山廃としっかりと確立していくためのライフワークみたいなものになりそうです。私がこの仕事をやっている間に何とか完成してくれればいいかなと。そして、今はまだ小学校2年生のただ今野球三昧の2人の子供がもし、後を継いでくれるのなら、親としてこれは残してやりたいなとずっと先を見て考えてます。今年も酒造り、始まります・・・・・・・・・・・・。」

さてさて 朝市でどんなふうになるのか。今回の朝市は私にとってもとりわけ すぺしゃるな朝市になりそうです。

深いな・・・・・・