酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

輪郭線

京都 えき美術館にピサロ展を見に行ってきました。

印象派の絵は見ていても安心・・・自然の色合いが美しくやさしくて素直で・・・・心がほっこり和みました。

が、じっくり眺めていると ふつうにええなあ・・・・気持ちええなあ・・・と流す絵と、まるで鍵穴に鍵が差し込まれ、カチャッとドアが開かれるように、決まる絵とがありました。

ついつい職業柄 お酒と結び付けしてしまうのですが、お酒を利いているときの感じに似ていました。そしてそんなふうに決まった絵は、一回りしたらもう一度見たくなり、再びその前に立つと根っこが生えたような快い心持になるのです。

ピサロは温厚で信望も厚く、家族にも友人にも慕われていたそうで、絵からもその優しさがにじみ出ていました。がそれだけではなく、「構図が考え抜かれた上に完成されているのです。さらに画家の技法も常に一所懸命に研究していました。」ということが説明文にありました。見ているだけではそういう技法を駆使した様子はわからなかったのですが、家族や仲間ではないピサロの絵を見た時に、その情景の匂いや空気がよりリアルに感じられるように思えたのは、そのせいだったのかもしれません。

また最後に息子さんにあてた手紙がありまして、こんなことが書かれていました。うろ覚えなので 違う箇所もあるかと思いますが・・・

『全てのものが描かれる価値がある。』

『そのものの本質を知ったとき、初めて全体を捉えることができる。』

『専門家になろうとするな。それは芸術から離れることになる。』

『対象に真剣に向き合い、より大きくしっかりした輪郭線を持つものにとりくみ、自分自身を鍛えることをはじめなければならない』

追加・・・」(ピサロ展カタログ no.956)より・・・『幸せな人とは他人には見えない控え目な美しさを見ることのできる人である。どんなものでも美しいのだ。問題はいかにそれを受けるかを知ることにかかっている。』

輪郭線・・・・って、お酒にとってもすごく大事かも。輪郭を描くというよりは、対象の内にあるものを描く・・・というのやろか。強調しすぎる輪郭線ではなく、感じることを大切にしながら・・・そして調和させながらできていいく輪郭。私が昨日書いた三連星のお酒、素敵な輪郭線があったなあ・・・・・って。なんか自分でもようわからへんのやけど・・・・そんなことを思いながら美術館を後にしました。さて この後、イヌガオちゃんらと池田の玄生さんへ~