酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

萩乃露 至福

大事な友人が久しぶりにご来店。懐かしいし嬉しいわあ。
そして美しい心が洗われるええお話を聞かせていただきました。

5日で一升瓶 一本 一ヶ月で6本・・・・・P箱ちょうどワンケースを召し上がれる、日本酒をこよなく愛してはったお父様が、一月一日お亡くなりになりました。その1年前に余命1年と告知された時、そして、病気と真っ向から向き合って壮絶ながらも心豊かにすごされ、もう余命あと・・・・という年の暮れに、こっそり娘と・・・・そこにあったのが至福でした。お父さんもこれを召し上がられて「うまいなあ・・・」って、しみじみ言わはったそうです。そして31日除夜の鐘を聞きながら有難うといいながら、息を吐いた後もう吸うことはなく、静かに穏やかに息を引き取らはったそうです。

お父ちゃん子やった友人は、逝ってきますとまるで手でも振っているかのように逝かれたお父さんと、この至福を飲んでいる時、時空を超えて一緒に飲み交わしているような・・・・ほんまに逢うているようなそんな心持ちになるのやそうです。

嬉しいときも・・・そして悲しいときにもあるのがお酒。

至福がこの世とあの世をつなぐ架け橋になっているやなんて、なんちゅう素敵な話やこと。

ええお話を聞かせてもろてありがとう。

私の父もこの亡くなられたお父さんと同じく77歳。意見の違いもあってバトルもありますが、こういう心洗れるお話を聞かせていただくと、大事にしよ・・・・って思います。

至福の時を・・・・・できるだけ深く感じられる人生でありたいと思います。

そして死とちゃんと向きあって、前を向いて生きていける人生でありたいと思いました。