酒屋日記 

小川酒店@滋賀浜大津、京阪電車沿いの酒屋のつぶやき

意地悪ばあさん

矢尾さんの冷蔵庫にある さまざまな生の熟成酒。

うひょうひょと喜んで奇声をあげていましたら、
不老泉の藤i井君みたいな 正直ものの鈴ちゃんがおっしゃいます。

これはあんまり美味しないはずや。美味しないから まだありますのや。
意地悪ばあさんはいつまでたっても意地悪ばあさんやて。

今日パンチさんに聞いてもみたのですが やっぱりそうらしいです。
でも日本酒ちゅうのは ほんまに嗜好品なので、その意地の悪さが時として魅力的になったりもするんですなあ。やんちゃな子がへんに愛しくなったりするみたいに。そしてそれがお酒の楽しみ方のある意味醍醐味かも。

後で述べますが今日は 加夢居さんにて薄桜の会がありまして、お燗ブラザーズにお燗をつけていただきました。で、一年以上たった火入は間違いなくお燗あがりするのですが、新酒の生酒はつらいお燗なり。でも プロのこういうお燗職人がやはる時こそ 難しいお燗ってして欲しくなりますやん。で 新酒の攻めを お燗してもらいましたんや。すると 単体で飲むにはぶーなんですが(たとえば膳のお店では出せませんちゅうことです) へしことかごつい強い太い発酵食品にはこれまた妙に合うのです。

意地悪ばあさんも 新酒の攻めのお燗も シチュエーションで 結構楽しめたりもするのかもしれまへん。

矢尾さんの天井と かつて使われていた 槽。増本さんとこみたいに いつの日か復活するかも。

矢尾さんに行く道中 奥播磨の9BYを感動とともに味わったという話をしていたら この14年間 こいつはこんなええ熟成をして素晴らしいお酒になったのに 人間の私はこの14年でどんなふうに変わったんやろ?ただ歳を重ねただけ…しわが増えただけ?いやのうのうと えらく深い話になりました。

ほんまに 美味しく時を重ねたお酒を頂くと、そんな悠久の想いにかられますし、まるで人間模様のよう。

いろいろ お酒から語られること多し・・・です。そして おそらくどのお蔵にもあると思うんですが意地悪ばあさんの熟成も なんか興味深々やけど むやみに足を突っ込んではいけない世界なのかもしれへんな。